汎用機材使用レビュー

 有機合成化学の研究室で必ず必要となる機材は各メーカーから販売されていますが、性能と価格が様々で新規購入の際は迷います。価格の安さだけで選ぶと、使い難かったり、安定して機能しなかったり、すぐに故障したりと、結局損をすることになります。こういった情報は人づて以外の方法で手に入ることはほとんどありません。多くの場合は安全策をとり、これまでに使用していた機材と同じ物を購入という選択肢をとります。このような背景から、参考までに研究室で使用している汎用機材について使用レビューを掲載することにしました。

1.マグネチックスターラー
2.エバポレーター
3.ダイヤフラムポンプ
4.分析用(0.1mg)天秤
5.乾燥機(低温・大容量)


(1)島津製作所・AP224Y(2020年7月購入)
 下記(2)メトラー天秤MS204Sの故障により新規購入となり、今回はパソコンに天秤ログを取ることができる機能を最重要とし、標準分銅を持っているので内部分銅校正は不要、この条件での「納入価格」から選定しました。メトラーとザルトリウスも考えましたが、MS204Sの緑色表示が良好だったこともあり、今の機種にはあまり魅力がありません。夏の湿度に耐えながら10年間稼働して欲しいところですが、価格からすると5年程度でも仕方ないと考えています。
(後日、写真と追記予定)

(2)メトラートレド・MS204S(2011年購入)
※2020年7月故障と修理不可による最終レビュー(作成中)
 9年間ほぼ問題無く稼働していましたが、最後は正面パネルからのキー操作が不調となり、数値のゼロ設定ができなくなったことで、研究における実用的使用が不可となりました。メーカーも修理受付を終了しており、新規購入の結論です。外見は綺麗で、ゼロ設定ができないが重量は計測でき、数値表示も問題無いので、惜しいところです。
 メーカー修理不可なので中を開けてみたところ、構造が非常に丁寧であり、基板周辺の密閉処理が行われています。価格の高さに納得しました。
(後日、写真と追記予定)
 しばらく放置したら正面パネルの不調が復活するかと思い、しばらくは廃棄せずに保存します。

※2019年1月追記
 長い間レビュー放置し、もはや同型機種は購入不可となっていますので、機材レビューというよりはメーカーレビューです。基本機能+αのスペックは、内部分銅校正可能、データ外部出力可能(シリアル・USB)、壁・扉・底板の取り外し可能、であり、購入時の価格は低価格天秤の1.3〜1.5倍程度だったと記憶しています。
 ここまで7年半トラブル一切ありません。前方ガラス、左右の扉、底面のステンレス板、は取り外して洗浄できるのでメンテナンス作業が容易であり、筐体プラスチックは有機溶剤に耐性が強く、全体的に目立った損傷も見られず、良好な状態を保ち続けています。メトラーブランドに対する、価格と性能に満足した機材です。
 現在はよく分からない各メーカーから格安天秤が販売されていますので、特にこだわりが無ければ格安天秤を使い捨て判断で購入した方が安上がりかもしれません。

  

 使用において値のメモ忘れは誰もが経験あることなので、測定値ログをPCに残しておく状態にしています。不要となった古い低スペックPC(WinXP)の有効利用です。

 

※2011年8月記述
 
(2)の天秤の件があったので、若干高価ではありますが、こちらが必要な性能をもつメトラーの天秤購入を決定しました。2011.8.25現在、到着待ちです。届いてしばらく使用したら掲載します。


(3)A&D・HR-300(2003年購入)
※2019年1月最終レビュー
 
廃棄しました。

※2011年8月記述
 10年近く使用しています。購入時はザルトリウスやメトラーの同性能天秤と比較すると安価であったこともあり、価格重視(15万程度だったと思います)でA&Dの天秤としました。この天秤は外部校正で外部出力端子も付属しておらず、量るだけの必要最小限の性能です。
 これまで白黒液晶の文字欠けが2回発生しています(現在2回目発生中)。そうなると秤量値の読み取りができず(数字のどこかが欠ける)、外部出力端子も無いので使用困難となります。どうも気温と湿度が高くなる夏になると、内部の基盤の接触不良により液晶文字欠けが起こりやすくなるようです。室温と湿度を年中管理している部屋にしばらく置いておく、あるいは冬場になると自然に直ったりしますが、所詮一時しのぎのようです。ちなみに1回目の修理費は5万程度でした。この夏、節電のため夜間の空調をOFFにしていたところ2回目の症状が発生したので、前述したように冷房の効いた部屋で復活させ、現在は様子を見ながら使い続けています。これまでの経験上、液晶表示をOFFにすると文字欠けが起こりやすくなるようなので、今は常にON状態にしています。とはいえ、いずれ復活しなくなるのは予想できます。もう1台のA&Dの天秤と含めて計3回同じ不具合がでており、こちらも修理するとトータル約15万で、新品1台購入できる金額になります。なので現在の文字欠けの症状にから復活できなくなったら、ザルトリウスかメトラーの天秤を購入することにしました。以前は価格が高かった両メーカーですが、最近は購入しやすい価格になってきました。
新しい天秤を購入したら、この天秤の中身を開け、自分で修理できないか探ってみようと思います。

 

※2011年8月追記

 2回目の文字欠けが発生後、盆休みが終了して研究室に戻ってきたら、予想通り液晶の文字欠けが悪化して使用不可となりました。休み中エアコンを稼働させていたのですが、途中で点検モードに入ったらしく(長時間稼働していると勝手になるようですが基準がいまだにわからず)、戻ってきたらエアコンが動いていませんでした。

   
Pではなく8を表示させてこの状況
 
 液晶部分のネジを外し、中を開けてみました。液晶に繋がる導電テープの基盤への接続部分を探ってみましたが、文字欠けが改善する兆候は見られませんでした。もはやメーカーに修理依頼する気持ちはないのですが、部品(基盤)さえ手に入れば自力で直せそうな構造です。このメーカーの天秤は使用ユーザーも多いので、しばらく保管しておくつもりです。

   

   


(4)A&D・HR-202i(200x年購入)

※2020年7月追記
 
白黒液晶の文字欠けがひどく、全く見えなくなりました。上の(2)に記載していますが、メトラー天秤とは天と地の状況です。基板部分の密封処理(湿気対策)が行われていないためと思われます。

※2019年1月追記
 
20〜30年前の電卓白黒液晶(親からもらった電卓とか学生の頃に購入した関数電卓とか)に文字欠けトラブル発生していないのに・・・。(1)にも書きましたが、現在はよく分からない各メーカーから使い捨て判断で購入がいいかもしれません。幸い外部出力が可能なので、現在は表示装置(価格は液晶修理費用と同じくらい)を付けて使用しています。乾燥する冬場は白黒液晶基板の調子が良く、以下写真では文字欠けしていませんが、夏場は文字欠けとなります。



※2011年8月記述

 0.01mgまで量れるセミミクロ天秤です。ある理由によりセミミクロの精度が必要となり、安価(20万程度)なA&Dの天秤を購入しました。外部分銅校正です。外部出力端子が付属しています。購入して5年ほどですが、こちらも(1)と同じく文字欠けの症状(写真右)が、購入して2年ほど経った後から出ています。2010-2011の冬期間はこの症状が自然に直っていたのですが、2011春頃から再発しています。外部出力端子と専用ソフトがあるので、古いWinMeのノートパソコンにデータ転送することで使用しています。同じ症状がA&Dの天秤で多発しているので、こちらの文字欠けはもう直す気持ちが無くなりました。

  

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