汎用機材使用レビュー

 有機合成化学の研究室で必ず必要となる機材は各メーカーから販売されていますが、性能と価格が様々で新規購入の際は迷います。価格の安さだけで選ぶと、使い難かったり、安定して機能しなかったり、すぐに故障したりと、結局損をすることになります。こういった情報は人づて以外の方法で手に入ることはほとんどありません。多くの場合は安全策をとり、これまでに使用していた機材と同じ物を購入という選択肢をとります。このような背景から、参考までに研究室で使用している汎用機材について使用レビューを掲載することにしました。

1.マグネチックスターラー
2.エバポレーター
3.ダイヤフラムポンプ
4.分析用(0.1mg)天秤
5.乾燥機(低温・大容量)


(1)DIVAC 1.2L(DIVAC)

 昔の研究室ではエバポレーターの減圧にアスピレーターを用いていましたが、現在ではダイアフラムポンプを用いることが普通になってきました。DIVAC社のダイアフラムポンプは普及当初からよい製品で、有機溶剤への優れた耐薬品性を持ち、長い製品寿命であることから、有機化学の研究室で標準的に使用されるダイアフラムポンプです。現在ではDIVACの名前が入ったポンプは消えつつあり、同型品が各会社から販売されています。カタログにはいくつか種類がありますが、このポンプは排気速度(50Hz) 20L/min、真空到達度800Pa(6mmHg)です。この辺りの性能が通常のエバポレーターにちょうどよいかと思います。耐久性がとにかくよく、10年近く部品交換せずに使い続けているポンプが1台あります(写真右)。多少運転音が大きくなりましたが問題無く動き続けており、価格20万程度であることを考えると優れたコストパフォーマンスだと思います。

  
 
(2)MD1C(バキューブランド)
 このポンプは排気速度(50Hz) 20L/minと(1)と同じですが、真空到達度が200Pa(1.5mmHg)に達するダイアフラムポンプです。真空度が高いので、沸点150℃程度の溶媒、例えばキシレンやDMFなども無理なくエバポレーターで除去できます。ヘキサンや酢酸エチルを除去するのには強すぎるので、普段はエバポレーターに繋がず台車に乗せています。オイル式の真空ポンプに比べると減圧能力は弱いですが、そこまでの減圧度を必要としないベンズアルデヒドの減圧蒸留などには、液体窒素・ドライアイス冷却トラップが必要無い(蒸気は出るのでトラップは必要)ので重宝します。価格が35万前後と高いのが難点ですが性能的に納得でき、冷却トラップを簡略化できる高真空ポンプとして役にたちます。

 

戻る
戻る