世話役
         
生駒忠昭(理学部化学科)
         ikoma@chem.sc.niigata-u.ac.jp

プロジェクト推進講演会
ビルドアップで拓くナノスピン科学

日時
11月2日(月)16:30〜17:30
場所
物質生産棟F6フリースペース
講師
オックスフォード大学 無機化学研究所
Centre for Advanced Electron Spin Resonance
リサーチマネージャ 前田公憲 博士(理学)
演題
鳥と電子のマイグレーション
概要
鳥の磁気コンパスと溶媒和電子のマイグレーションという2つのテーマについて,電子,核スピンがどのようにかかわってきて,電子スピン共鳴や化学反応の磁場効果からどのような事が言えそうか考えてみたいと思います.

  1. 渡り鳥等の動物が地磁気を感じてその渡りに利用している事が言われていますが,そのメカニズムとしてマグネタイト説と並んで提唱されている,化学コンパスモデルについて解説します.モデル分子によるモデルの実証や鳥の真のコンパスを捜す動物の磁気共鳴実験との対応について述べたいと思います.
  2. Birch還元で知られるように,アンモニアにアルカリ金属を溶かすと溶媒和電子が発生します.この液体は高濃度では金属性,導電性を持つことや,特異な相転移,相分離を起こすことなどから,その中での電子の運動性に興味が持たれます.講演者はパルスESRを用いて電子マイグレーションにアプローチしています.本講演ではその方法論に焦点を絞ってお話したいと思います.
文献
  1. "Chemical Compass Model of Avian Magnetoreception",
    Kiminori Maeda, Kevin B. Henbest, Filippo Cintolesi, Ilya Kuprov, Christopher T. Rodgers, Paul A. Liddell, Devens Gust, Christiane R. Timmel, and P. J. Hore,
    Nature, 453 (2008)387-390
    .
  2. "Magnetic Field Effect on the Photoactivation Reaction of Escherichia Coli DNA Photolyase",
    Kevin B. Henbest, Kiminori Maeda, P. J. Hore, Monika Joshi, Adelbert Bacher, Robert Bittl, Stefan Weber, Christiane R. Timmel and Erik Schleicher,
    Proc. Nat. Acad. Sci. 105 (2008)14395-14399.