第4回 新大先端化学セミナー
2015年8月12日(火)場所
10:00〜11:00
物質生産棟161講師
奈良先端科学技術大学院大学演題
物質創成科学研究科
山田容子 教授
前駆体法を用いた有機半導体材料の開発概要
ペンタセン等の有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池 (OPV), 有機発光ダイオード (OLED), 有機電界効果トランジスタ (OTFT)は次世代のデバイスとして現在盛んに研究が行われています。ペンタセンなどのアセン類は一般的な有機溶媒に溶けにくいため、薄膜作製には真空蒸着を必要とします。しかし、低価格・大面積化・フレキシブルなどの利点により、真空蒸着を用いない溶液プロセスによる薄膜作製について注目が集まっています。低分子有機半導体の可溶化のために、我々は光変換前駆体法を用いています。ペンタセンのジケトン前駆体に可視光を照射するだけで、2分子のCOが脱離し、溶液中・薄膜中・結晶中で定量的にアセンに変換することができます。溶媒に可溶な前駆体を溶液プロセスで薄膜化した後、光照射して得られた有機半導体薄膜はOPVやOFETへ応用可能です。山形大学中山研究室との共同研究によりこの手法で作製したペンタセンOFETは0.86cm2 V-1s-1という高い電荷移動度を示しました。この手法を用いると溶液プロセスによる積層膜の作製が可能です。また光反応を利用して薄膜の結晶構造を制御することもできるので、溶液プロセスによる積層型有機薄膜太陽電池の薄膜構造制御に向けて、さまざまなアセン誘導体の合成に取り組んでいます。 共同研究プロジェクト「革新的塗布型材料による有機薄膜太陽電池の構築」を推進中です
世話役
生駒忠昭(理学部化学科)
ikoma@chem.sc.niigata-u.ac.jp